まゆみとセカンド 2
「お父さん?」
まゆみが書斎を覗くと、父が大きな机に座って書類を広げていた。
「なんだ?」父は書類から目もはずさず憮然と答えた。が、すぐに顔を上げて、まゆみに微笑んで見せた「ああ、チョコレートか。ありがとう」
「これ…」まゆみはDVDを差し出した。
父はそれを見ると、右の口の端を吊り上げた。
「…まゆみって書いてあったので、中を見ました。これは…、これは、一体なんでしょうか?」
まゆみの足は震えていた。
父はまゆみの怯えた様子をみて、また右の口の端を吊り上げた。
「それは、まゆみという女の記録映像だ」
「どういう人なんですか?」
「会ってみるか?」
父はまゆみをまっすぐに見つめている。まゆみは父の視線を苦痛に感じた。
いつも接しているやさしく厳しい父が、とらえどころのない他人のように、そこの見えない井戸のように不気味に感ぜられた。
「お前にはもう話しておいたほうがいいだろう。これには少し訳があるんだ…。お前にも関係のあることだ」
「…」
「知りたいだろう?」
「はい。会わせてください」声がかすれた。
「出かけるぞ」父はお抱えの運転手に言った。
「はい。ご主人様」運転手が後部座席のドアを開けた。
父とまゆみが乗り込むと、高級車は屋敷を後にした。
「どちらへ?」
「まゆみに会いに行く」
「はい。かしこまりました」
「!」まゆみははっとした。
運転手の声は、あの動画で少女をいたぶっていた男の声だった。ムチを手に笑いながら少女を打ちのめし、ひどい内容の謝罪を要求していたあの声だ。まゆみは恐怖と不安で、取り乱しそうになった。
父はまゆみのコブシが硬く握られているのを見て、努めてやさしい声で言った。
「心配するな。まゆみ。お前には、この俺が何もさせはしない。大丈夫だよ」
「…いったい。どうなっているのですか?」
「全部話してやろう…。
…俺の愛人…、いや違うな。俺の肉便器が孕んで、子を産んだ。18年前だ。
肉便器、肉便器、と蔑んで散々な扱いをしたが、いい女だった。
残念ながら、産後しばらくして俺の知らないところで勝手に死んでしまった。自殺だった。
彼女の子は双子の女の子だった。
俺は、彼女の子の父親だと名乗りでた。まあ十中八九俺の子だろうし、それに、この双子の女の子も、成長すればあの女のように美しく淫らな変態になってしまうのだろうと考えた。肉便器として誰かの所有物になるくらいなら、俺のものにしたいと思った」
まゆみは驚いて、隣の父の顔を凝視していた。
父は、前を見たまま話し続ける。
「…双子の二人を引き離したのは、6歳の頃だった。
…一人は、屋敷の箱入り娘、一人は、屋敷の地下で肉便器にすることにした。
おまえは箱入り娘、もう一人のまゆみは便所だ」
「べ、べんじょ…」
「性処理用のな…。
…おまえが、小学校に入学し勉強に精を出し、友達と遊び、運動会で活躍しているころ、もう一人は、俺のペニスに奉仕することを覚えていた。
おまえが運動会のかけっこで一位になった夜にも、もう一人は俺の股の間で必死に首を振って口で奉仕していたよ。お姉ちゃんはがんばったぞ、おまえもがんばれと言ってな。
おまえが、初恋をしているころ、もう一人の処女を仲間といただいた。
その頃、俺は、俺は男の子からの電話をお前に取り次がないようにしていたな、男子と交際などまだ早いと言っていた。今思えば少し厳しすぎたか…。だがお前は大切な箱入り娘だからな。ただ、もう一人の肉便器の方はもう屈辱的な体位で幾人もの男に次々に犯されて汚されていたんだよ。
おまえが、中学校に入学し初潮を向かえたころ、もう一人は毎日数人の足元にはいつくばってセックスの玩具にされていた。
おまえが、ミッション系の高校に入学しお嬢様として青春を謳歌している頃、もう一人はお腹にタトゥをいれられ、体の主要な場所にピアスをあけられていた。
お前がのびのびと自分の可能性をためしているころ、もう一人はタトゥやピアスで後戻りできない体になっていたんだよ。搾乳機やクリキャップで興味のむくままいたぶっていたな。今でも、乳首とクリの形は変形しているぞ。
そして、つい最近、おまえが、受験勉強に奔走している頃、もう一人は妊娠させられたんだ」
まゆみは目に涙をためていた。どうしていいかわからなかった。
「どうしてそんな事を…? ひどい…」
「ひどい?
…二人を別々に育てたのには、理由がある。スニーカーのコレクターが、同じスニーカーを二足買う例と同じだ。
観賞用と使用用だよ。
一人は未使用の申し分ない学があり美しく品のあるお嬢様。
一人は使用済の絶対に逆らえない淫乱に改造された肉便器。
そういうことだよ。
お前は安心していい理由がわかっただろう。お前は、今のままお嬢様でいろ。美しく慎み深い深窓の令嬢でいるんだ。
その事に、未使用なことに価値があるんだよ」
「…」
「おびえなくていいんだ。堂々としてろ」
「はい」わけもわからずまゆみは素直に返事をしていた。
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