美知恵さんの告白『名前以外は全て本当のことです』8
目を覚ましました。
まだ体がだるいです。
喉が乾いていたので、ふらふらとお台所に行き、水道に口を付けて飲みました。
買い置きのお菓子のビスケットを1枚かじってまたベッドに倒れこみます。
その作業を何度も何度も続けました。
ピポーン!
うっすらと目を開けインターホンを取りました。
通信販売で頼んでいた安いスーツが3着届きました。
荷物を受け取り、ふと携帯を見ると『着信アリ12件』とサブディスプレイに表示されていました。
11件が会社、1件は知らない番号でした。
留守電もたくさん入っていました。
留守電を聞くと、先輩から『折り返し連絡してこい』という命令。あとは主任からで初めは心配した内容、次からは『明日には来い』という内容、最後は『いい子だと思っていたのに裏切られた気分だ。もう来なくていい』でした。
日にちを見るとあれから4日も経っていました。
背筋が凍りつき、またベッドに倒れこみました。
赤ちゃんのように泣きました。
いままでこんなに泣いたことはないと思います。
悲鳴のような声を上げて泣きました。
その後襲ってきたのは不安です。
家にも帰れない、友人もいない、お年玉を貯めていた貯金も残り20万円、今の部屋もマンスリーで1ヶ月しか契約していない(不動産会社だったので入社後安いところを紹介してもらう予定だった)……。
私どうすればいいんだろう…。
ふと、先輩の留守電の声を思い出しました。
携帯を手に取り、先輩の携帯に電話をしました。
すぐ先輩は出てくれました。
「もしもし…」
「お前何やってんだ。今家にいんの?」
「はい。家です」
「帰り寄るから家の場所は?」
お店の名前等を目印に、細かい場所を教えました。
数時間後、田中先輩が家に来ました。
少し怒っていたみたいでしたが、「お前どうすんの?」と聞いてくれました。
私はまた涙が込み上げてきて、しゃくりあげながら、どうすることも出来ないこの状況と不安を話しました。
私がベッドに突っ伏して泣いていると先輩はビックリするような言葉を言いました。
「んじゃ、来月から俺んとこくれば?」
ビックリして先輩を見つめました。
「今女いないから別にかまわないよ」
ビックリしすぎて言葉が出ませんでしたが、すぐに涙が止まり声を出すことが出来ました。
「はい。よろしくお願いします!ありがとうございます!!先輩ありがとうございます!!」
今の私には先輩しかいませんでした。
そう感じると、先輩のことが急に愛しく感じられました。
レイプをされたり、精液を飲まされたりしたことが、私の中では急激に過去の話しになりました。
「ただ…」と先輩は続けました。
先輩は、特殊な性癖で女性をモノ扱いしたり、乱暴をしたりしないとその女性を好きにはなれないこと。ダッチワイフのようにだらしなく情けない姿をさらす女に感じること。その他いろいろと説明してくれました。
こんな話を聞いても、よく考えもしないで「がんばります」と笑顔で答えました。
選択肢もありませんでしたが、不安と寂しさで気が狂いそうだったので、目の前の人のぬくもりに飛び付いたのだと思います。
先輩の彼女になれるかもしれない、愛されてもっと頑張れば結婚出来るかもしれない…、それしか考えていませんでした。
その日から、先輩の家に引っ越すまでの2週間、まずはえっなことのお勉強や、もっと虐められて感じるようになる準備等が始められました。